忘れたと思っていても、ふと顔を出す。その度に今度こそは忘れようと思っていた。嫌なことも良かったことも全部、なかったことにしたい。それで感情を揺さぶられるなんて気に食わない。
けど、なんとなく、いっその事擦ってみようと思って彼がよく歌っていた曲を何曲か聴きまくった。いい曲はやっぱいいもので、時折彼がチラつくけどもうどんな声でどんなトーンで雰囲気で歌っていたか、思い出せなくなってきた、気がする。
歌詞の意味をなぞりながら再生して、彼とは真逆だと恨み言。なにが‘私の傍に居て’だ。なんの感情も篭っていなかったじゃないか。
相手方は私のことなんてなんとも思っていなかったんだろうけれど、あたしが渡すお金が好きだっただけなんだろうけど、それに、好きだったときからそれは薄々気付いていたけど。
見ないフリした私にも非があるかもな。
いや、無いわ
あーあ、
超好きだったのにな!