君に会いに行くために、リボンをつけて、髪を巻いた。初めてネイルサロンに行ったのも、君に可愛くなって会いに行くためだった。
ヘアメイクをしたいから髪を伸ばした。
やってみたいことの口実に、君の存在があっただけだけれど、私の初めての記憶に君がいるのは紛れもない事実だ。
1か月弱のかわいいのためにお金を払う口実はなくなってしまったけど、まっさらな爪先はなんだか物足りない。
一年弱、必死に会いに行ったって、どれだけ好きでいたって、やはり散るときは呆気ないものだった。ああ、好きだったのに、なんて以前もどこかで言っていたな。
あの日のあの時の彼のステージは、なんだったんだって思うけど、もうどうにもならないことである。あたしはあたしなりに、そちら側に立つ人間のことを考えて、感じていたつもりだった。君のステージの機微を感じ取ろうとしていたつもりだった。今更、どうにもならないことである。
己に、言い聞かせていく。
前と同じ気持ちで好きでいられないことを悟ってしまったら、もう戻れないことをもう痛いほど知っている。
なん百枚とある画像フォルダの彼の写真と、まだ全部消すことのできていない彼とのやりとりも、すぐに過去のものになるのだ。